白羊宮

Mar.21-Apr.19

花などなくてもここは春です

 にっくきあいつがお国のものになって、やっと俺にも出番がと思えば、ポッと出のやつにそれもとられて。
 ただ、どちらかというと仏頂面なそいつは俺には優しくしてくれて、弱る。
 今まで、誰かにあたたかさを向けられたことなどなかったから。

3月31日
鉄道国有法 関西鉄道国有化(伊勢鉄道視点)

愛とは新しい罰のことですか

 俺を拾ってくれた恩人が崇敬するそこへは、知らないやつが行くことになった。
 今は自分のことだけでなく、彼のことを思って、悲しくなる。
 こんな気持ちは知らないほうが、と思ったそばから、再び案を練り直す。だって、他にやり過ごす方法を知らないから。

4月19日
大和鉄道に山田まで、
伊勢電に松阪どまりの免許

磨羯宮

Dec.22-Jan.19

永遠のある街

 思えば開業路線として関わったのはここまでだった。
 江戸の頃から活発に巡礼者が行き交いだしたこの道を、今じゃ特急電車が走っている。
 そんな世になっても、相も変わらず太陽は三輪山から昇っているし、二上山に沈みゆく。
 高規格路線をもってしても、風景を一変させるなんてことは容易くない。参拝きっぷを持った人たちとすれ違い、今日も思う。

1月5日
大阪電気軌道 大軌八木−桜井間開業

宝瓶宮

Jan.20-Feb.18

光芒を梳くように

 まっすぐ駆けるように、というようにはいかなかったかもしれない。
 それでも、目抜き通りの喧騒にさらに軋み音を加えながらカーブを慎重に抜ける、イムペリアルスカーレットの電車が俺は好きだった。
 あまりの轟音に振り返った少年は、それでも目を輝かせていて。次は乗ってな?

1月30日
伊勢電気鉄道 四日市−桑名間開業

双魚宮

Feb.19-Mar.20

寝室でだけ聴いてやる話

 榛原を出ると、車窓の向こうに道が広がっている。初瀬街道沿いのこの路線では珍しい光景だ。
 あの筋を進めば伊勢本街道。かつて大軌が志した道だ。
 今の経路で不満はない。むしろこのほうが宿場町も多く結果としては良かった。
 しかし、夢のはじまりというものは……、列車は進む。このあたりでよしておこうか。

2月21日
参宮急行電鉄 長谷寺−榛原間開業

旅行者ともう一人

 海岸育ちの者として、はじめて山側に線路を伸ばしてみれば、そこには到底歓迎できない奴がいて。
 その傍ら、延伸したら連絡駅をと言ってくれるひともいて。
 大規模な延伸で不安がないこともないが、旅の道連れ、いろんな奴がいると思えば、感情をあまり表に出さずにやり過ごせそうだ。

2月26日
伊勢電気鉄道 津新地−新松阪開業

心臓だけはいつまでも赤い

 鉄の匂いは血の匂いに似ているらしい。そう言っていたのも兄であるから、確証を持つすべはない。
 それでも、あの華々しい日に抱きしめられた時のぬくもりは、ただの道であるはずの兄と自分との結びつきをより一層強くさせた。
 準備は整った。もう自分で走るしかない。

3月17日
参宮急行電鉄 山田−宇治山田間開業
参急本線全通

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as far as I knowさんの黄道十二宮お題を近鉄関係の記念日に当てはめたショートショート群です。
朝の病さんのテンプレ(※改変あり)およびエナメルさんのガチャ景品を使用しています。