Episode 14 -神殿とエネルギー-


 真ん中の道を選んだカグロは、現れたゲンガーに苦戦していた。
「ネオラント、“ゆうわく”だ!」
「ネーオ!」
 ネオラントの“ゆうわく”で、ゲンガーの特殊攻撃力が下がる。
「ゲンッ!」
「くっ、“シャドーボール”か……しかもまた、威力は倍!」
 エネルギーが作用しているのか、たまにネオラントとゲンガーの攻撃力が倍増するのだ。そのため、カグロの計算は何度も崩れていた。“ゆうわく”を使ったのもこのためだ。
「ネオッ!」
「直撃は免れたな、ネオラント、“アクアリング”!」
「ネーオーン」
 長期戦に備え、ネオラントに水のリングを纏わせる。これで、少しずつ体力を回復させることができるのだ。
 ゲンガーを倒す方法を考えながら、カグロは川での出来事を思い出した。あの時のエネルギーは、約三倍もの威力が出せたが、それは一度きりだった。
「ゲーン……」
 ゲンガーが出した技は、“さいみんじゅつ”だった。ネオラントはうとうとし出す。
「ネオラント! く、何か方法は……“ゆめくい”が来るぞ」
 ネオラントが眠っているため、ターンはまたしても向こう。カグロの予想は外れ、ゲンガーは“のろい”をかけた。
 これで相手の体力は半分を切った。ネオラントはまだ眠っている。
 そこでゲンガーは“ゆめくい”を繰り出した。
「また威力が倍! “アクアリング”で持ちこたえてくれ……」
 同じポケモンに連続でエネルギーがついたのははじめてだった。そこで、このエネルギーは一定のターンごとに味方と敵との間をを往復しているのではないか、とカグロは考えた。
 ネオラントが目覚めた時、カグロは真っ先に“しんぴのまもり”を指示した。
 このターンを耐えれば、推測が正しければ、次ネオラントの攻撃の威力は倍。幸いゲンガーが繰り出した技は“あやしいひかり”だった。
「よし、“しんぴのまもり”を回避できたところで……“なみのり”!」
 ネオラントは、残った力を振り絞り、大波を起こした。ゲンガーは戦闘不能となり、ふっと消えた。
「三ターンに二度、それも交互に訪れる、これがわかってよかった……ネオラント、もう疲れただろ。ゆっくり休んでくれ」
 一度戦闘から離脱すると、“のろい”の効果もなくなる。だが、ネオラントの体力は残りわずかだった。

 長い階段をのぼり、出口の光が見えた。その先には銀一色の世界が広がっている。
 山にポケモンはいない。“水晶のかけら”は頂上を示し、そこにはかすかな青白い光が見える。ミラクルソフィアだ。
「もうすぐだ、もうすぐ……」


非常にわかりにくいと思うので図をば。
今回出てきたエネルギーは“バウンスエネルギー”ですが、公式とは全然違う使い方をしています。
ネオラントの体力については、アニメ仕様だと思ってください。気合です。
ゆうわく    ― シャドボ(倍)
アクアリング  ― さいみんじゅつ
ねむり(倍)  ― 呪い
ねむり     ― ゆめくい(倍)
しんぴのまもり ― あやしいひかり
なみのり(倍)

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