「今日は、報告に……」
 軽く全身に雪を積もらせた青年は、入ってくるなり静かに短く、そう告げた。「大切な事みたいだな。お茶を淹れるから体を温めなさい。その間に話を聞こう」
「娘が産まれた」
 奥に進む前に、彼は後ろから簡潔に言い放つ。
「妻も死んだ」
「………そうか」
 振り返る事が出来ず、沈黙の後にそう答えるしか出来なかった。
「娘の世話があるからしばらく此処には来ない。その報告だけだ。お世話に、なりました」
 気配で、頭を下げたであろうことは分かる。振り返るより先に、彼は来た時と同じように静かに雪の中出て行った。


 69さんより、サイキさんとゼンショウ