クリスマス小話


「はーいいらっしゃい、もうすぐ焼きあがるよー」
 約束の時間より少し前に来たジムリーダー仲間を見て、カタリーナは優しく彼女を迎え入れた。
 テーブルにはサラダ、ポテト、それからバゲットが所狭しと並べられている。テーブルの向こうでグライオンがぴょんと跳ね、バターとジャムをそこに置いた。
「お疲れ様。もう私がやっておくから、暖炉であったまってきなさーい」
「グラーイ……」
 グライオンは暖炉の前に向かい、そこで温まるポケモンの列にまざった。
「さて、エスカ」
 カタリーナは向き直り、今来たばかりの訪問客の名前をやや大げさに呼ぶ。
「頼んだものは持ってきたわね?」
「……はい。チョコパイ。グミ。チョコスティック。あとポケモン用にポロック。ポフィン。アイス。……それから」
 多くのスナック菓子を出した後、エスカはそっと、その箱を出した。
「ケーキ。この日のために色々試食して決めたから、みんなの口に合うと思うわ。」
「やっぱり、エスカに頼んで正解だったわ」
 箱を開けて、カタリーナは感心した。今日のクリスマスパーティには、他のジムリーダーやジムトレーナーも来る。そこで、ケーキ選びを、ショウエネでも指折りの美食家、キリムシティジムリーダーのエスカに頼んでいたのだ。
「じゃあ、あなたもあったまってきなさい。あ、まだローストが焼きあがってないから、ピンポンが鳴ったらその時はよろしくね」
 その時、ヒポポタスがぴぃと鳴き、カタリーナは慌てて厨房へ向かった。
 楽しい楽しいクリスマスパーティは、もうすぐ始まる。



 水方織絵さんのこのイラスト(ラフ織絵さん、仕上げ氷上)からSS一本。

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