SMISST対抗戦メモ - 01


「じゃーん! チームサクハの団旗!」
 ラナンは、赤い団旗を出して、一振りしてみせた。
「へぇ、いいじゃないですか。ラナンが作ったんですか?」
「んー、ってかまぁ、俺とジムトレたちと!」
「ナイスだよラナン! トップバッターになった私を、それで思いっきり応援してくれたまえ!」
 チャービルはそう言って、スタジアムに向かう。
「おうよっ!」

「ごめん負けちゃいましたー☆」
 そう言ってチャービルがテントに戻ってきたのは、試合開始からわずか数分後であった。
 まだどこのコートでも試合が続いている。
「速……!」
「はじめからあんたには期待してなかったけどね」
「えー、オバチャンそれはひどいよー」
「冗談よ、冗談」
 ラナンは旗を持ったまま呆然としている。
「あーあ、チャービル、ラナンのほうが落ち込んでますよ」
 ユッカが言った。
「いいんだ、ユッカの姉貴……」

「んー、じゃ、私は負けたことだし」
 チャービルは、軽く準備体操をしてから、実況席までかけていった。
「なんで準備体操? さっきまでバトってたのに……」
「今度はっ! 実況をっ! するためさっ!」
 近くにいた実況者のマイクをかすめとって、チャービルは大きく息を吸った。
「ハーイ! サクハジムリーダー兼、SBCのチャービルがー、スミスト対抗戦をより盛り上げちゃうぞー!」
 観客から黄色い声が飛んだ。ほとんどが女性の声だ。
「まったまた……。ま、彼らしいですね。実況者さん、ご愁傷様ー」