今までと、この一瞬


「なぁマーガレット」
 突然観覧車に誘われ、呼ばれ慣れない本名で呼ばれたものだから、メグとしては吹き出すしかなかった。
「気色悪いわ」
 笑いがおさまらぬうちにメグが言う。一緒に観覧車に乗っている相手、コウライは口をとがらす。
「お前なー、オレ今仮にも有名人だぜ」
「思い上がるな」
「すんません」
 抑揚のない声で即座に言われ、コウライは冗談半分に謝った。

 こういう関係は嫌いではない。未だに笑っているメグを見て、コウライは思った。
 だが、彼女にしてやってもいいぜー、と、得意げに言えば、なにか言ってるエリトレ様なにか言ってるよー、とからかわれる。今の関係からしたら当然のことなのだが、いざその相手に友達以上の感情を抱いてしまったら、一体どうすればいいというのだろう。


 草菜さんのコウライくんお借りしました。メモ的な。  

 130126