女子恐るべし


 ライモンの住人というのは、土地柄か目立つ格好の者ばかりだ。シオンがそのビビッドカラーの少年を見つけた時、彼に気づかれるよう元気に手を振った。
「あっコウライくんこんにちはー! ……あら?」
 コウライもそれに気づいて手を振るが、彼の隣にシオンの知らない少女がいた。金髪でピンクの帽子を被っており、そこにはゼブライカの目を模したらしいバッジがつけられている。コウライよりかは数歳年下に見えた。
「ああシオン、こっちはメグ」
 コウライが紹介すると、メグは目を輝かせる。
「はじめまして! 素敵なジャパニーズファッションですね。トレーナーですか?」
「そうですね、トレーナーのシオンです」
 シオンはにこやかに答えた。落着きながらも、どこか威厳を漂わせている。それから一泊おいて、二人を見て言った。
「ところで……コウライくんとメグちゃんは恋人同士ですか?」
「違います」
 シオンが訊いてすぐ、二人は異口同音に答えた。あらあら、とシオンは顎に手を当てて笑う。
「息ぴったりですね」
「違います」
 またしても二人は異口同音に答える。どうにかこうにか話を繋げようと、コウライがフォローに出る。
「ベタだ……ベタすぎる……これが漫画とかならフラグになるのかもしんねーけど実際そんなことありませんので」
「あら、そうなんですか。それは失礼しました。でも、お二人ともかっこいい、可愛い友達を持てて幸せですねぇ。では、私はサブウェイに向かいますね。スーパーシングル連勝記録更新中なので!」
「ああ、頑張って」
「頑張ってくださいねー」
「ありがとうございます。では」

 シオンが去り、また二人になる。コウライが恐る恐るメグのほうを見ると、不自然、とメグが言い捨てた。むっとしながらも、コウライは訊ねる。
「はぁ。女の子って、男女が二人でいるだけで恋人とか言うけどさー、あれ万国共通なのか?」
「さぁ。私女じゃなくて人間らしいから知らなーい」
 メグはしれっと答えた。
「なにそれ誰の言葉」
「ママに言われたー。もっと女の子らしくしなさいって」
「あーそれはあるかも」
「ママならいいけどコウライに言われるとかマジ」
「ごめんなさい」


 六花さんのシオンちゃん、草菜さんのコウライくんお借りしました。  

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