+ 第19話 それぞれの道の先へ… +


「ミュウツー」
「……」
「どうしたの?」
「少なくとも、“私”は、ミュウを、ミュウツーを作り出した人間を、許そう。オリジナルのミュウツーがどう思おうが、 許そう」
「そう」
 ミュウツーは、それから壊れた遺跡をしばらく眺めていた。

 二度目の別れ。
 だが、今回はゲンガーも一緒だった。
「ゲンガー、お前は、お前とサーナイトのこれからの運命を承諾した。今更後には引けないぞ」
「わかってるって」
「リリー、また……」
 リリーは、涙が出るのを必死でこらえた。それがわかっていたから、リリーより涙もろいノアも泣けなかった。
「こんな時こそ、涙を流すものだぞ」
 <世界の審判>が、そう語りかける。そこでリリーは我慢できなくなり、視界がぼやけた。
「ノアッ……!」
「リリー、リリー!」
「どんな世界にいたって、ずっと一緒。そうでしょ?」
「うん、うん」
 別れる前のほんの少しの時間――それは、永遠に代わる。

 お互い、これから歩む道は全然違うものだろう。
 お互い、人生のパートナーを見つけ、子供が出来て、やがて死ぬ。
 別々でも、別々でない。だって、その道に見えるものは、違うようで、同じものなのだから。

 □

「そっか、今回も」
「うん、大変だったー。でも、まさかキオが助けに来てくれるとは思わなかった! すっごく嬉しかったよー」
「私も、リリーが行ったっていうポケモンワールドに行けてよかった。もう行けない、よね。特に私は」
「……もう行けないのは、私だって同じだよ。でも、行く必要がないってことは、どちらの世界も幸せ、ってことだよね」
「そっか。そうだよね」

 □

「あら、これは……よりによってここに」
 そのポケモンは、遺跡の破片を見て、小さくため息をついた。
「まだまだ力は残っていますね。悪用されてもいけませんし……ここは、私が上手く作り変えてあげましょうか」

ポケダンRUN! 第二部

Fin.