第14話 〜たちのぼる煙〜

そこは、非常に暑苦しい場所であった。
空気も蒸している。
「う……もう限界かも……」
「モモ、もうへこたれたの? どこまでのぼればいいのかわからないんだから、食べ物はとっておかないと」
 テルはそう言いつつ、モモにオレンの実をわたした。
 ヒコザルとゴンベだと、どうしても体力に差が出てしまう。モモは顔面に汗をぽつぽつ浮かべていた。
「でも、なかなか冒険心をそそられる! そう思わないか、モモよ」
「なにその口調、気持ち悪い。体力さえあれば、冒険心をそそられる場所だとは思うけどね」
 テルはモモに話しかけるのをやめた。モモがこれ以上疲れると、見ていられないからだ。
(ここは、おれが頑張らなきゃ)



「さーて、ついたついた♪ ……あれ? モモとテルは?」
「そういえば見ませんねえ。まだ森で迷ってるんじゃないんでしょうか?」
 プクリンのギルドのメンバーは、テルとモモを除き洞窟の前に集まっていた。ちなみに、この洞窟の名前は、ぺラップによって“ねっすいのどうくつ”と名づけられた。
「いや、それはないぜ。俺は誰よりも早くここについた……と思っていたが、テルたちの方が先だったんだ」
「まあ、そうですのー?」
「ああ。空が急に明るくなった時、何が起こったかわからなくて俺は走った。その時、この洞窟にかけていくふたりを見たんだ」
「なかなか行動が早いゲス。あのふたり」
「そうか、よかった♪」
 プクリンは笑顔になった。これから“ねっすいのどうくつ”に入ろうとするやいなや、プクリンは背後から何者かによって倒された。
 プクリンは急いで振り返った。そこにいたのは、ギルドの留守番を頼んだはずのドクローズであった。
「ちょっと、君たちなんでここにいるの?」
「何も聞かないでもらいたいね! くらえ、 “毒ガススペシャルコンボ”!」
「いやあああーっ!」
 その強烈な臭いに、ギルドメンバーは次々に倒れていく。
 だが、唯一プクリンだけは倒れなかった。
「え? みんなどうしたの?」
「い……今、ドクローズの技が……」
「そんな! ……よくも弟子たちを攻撃したなあ……!」
 プクリンはキッとドクローズをにらんだ。地面がうなる。
「あの……アニキ、これって……」
「たあああーーーーーーーーっ!」
「ギャース!!」



 その頃、テルとモモはブーバーたちに囲まれていた。
 只でさえ暑いというのに、ブーバーたちの吐息でさらに暑くなる。モモはもう限界のようだ。
(守らなきゃ……モモを、守らなきゃ!)