第16話 〜みんなで探検しよう-ポッポボー編〜

※この章はメインシナリオに絡まない、独立した章です。読みとばしてくださってもかまいません。



 遠征を終えて、またいつものギルド生活に戻った。
 テルとモモは、いつものようにドゴームに起こされ、いつものように依頼板のある場所へ行く。
 その場所へついた時、そこではもめごとが起こっているようだった。
「どうした?」
 テルは近くにいたベルに訊いた。
「その……チーム・ポッポボーのおふたりが……」
 ベルは、あご−のかわりになるところ−で、チーム・ポッポボーを指した。
 チーム・ポッポボーは、ポッポとタネボーの、まだ小さいチームだ。丁度チーム・ダッシュと、同じくらいの時期に活動をはじめた。
「だーかーら、こんな依頼じゃなくって、もっとランク高いのちょうだいよ!」
「だーかーら、駄目だって言ってるだろ! この前も失敗したんだろ!」
「だーかーら、今度はいけるって! な?」
「駄目だっ! 確か君たちは、ペルシアンのギルドの連中だな? これ以上言うのならペルシアンに、迷惑してますよ、と連絡するぞ!」
 タネボーと言い争いをしているのは、ぺラップだった。ペルシアンのギルドは、ここトレジャータウンから北東に行った場所にある。
「……おい、モモ! テル!」
「はい?」
 テルとモモは、急にぺラップに呼ばれた。
「こいつらと一緒に、探検に行け! 依頼は……うん、これがいいかな」
 ぺラップは貼り紙を適当に剥がし、テルに投げた。
「えーと……『未開の地で、宝箱をひろってきてください。場所は、“ちいさなはらっぱ”』……」
「“ちいさなはらっぱ”!? 何でそんなところに」
「つべこべ言うなっ!」
 文句を言ったポッポに、ぺラップがしかった。
「……はい」
 “ちいさなはらっぱ”はまだ行ったことがないが、このくらいの依頼ならさっさと済ませられそうだ。ただ、問題はそこではない。テルは、紙とポッポボーを交互に見て、冷や汗をかいた。

「何でこんな依頼を……」
「まだそんなこと言ってるの?」
 テル、モモ、ポッポ、タネボーは“ちいさなはらっぱ”の探検をはじめた。
「でもおれ、こういうのやってみたかったんだあ。宝箱を探すなんて、まさに探検隊じゃん!」
「……」
「黙るなよー。探検隊になった時期って同じじゃん。仲良くしようよ」
「でも……おまえらは、もう遠征とかにも行ったんだろ? だったらもっとオイラたちをけなせよ。やーい、ざこめー、って」
「なんで? そんなことしないよ。探検隊は競うもんじゃないだろ」
 テルとモモはすたすた歩いた。ポッポボーは後ろからついていった。テルとモモも、さすがにこのふたりには苛立っている。
「ねえ、ポッポぉ……」
 ひそひそ声でタネボーが言った。
「なに?」
「別にこいつらについていかなくたっていいじゃん。別行動しようぜ」
「……そうだな」
 ポッポとタネボーは、気づかれないように回れ右をした。

「あれ、あのふたりは?」
 先に気づいたのはモモだった。
「え、ついてきてねーのかよ!」
 テルはすぐに引き返した。
「あ、待ってよー!」

「おい!」
 テルは猛スピードでふたりを探し、すぐに見つけた。
「何やってんだ?」
「……テル……」
 ふたりはムクバードに囲まれていた。
「ったくもー、仕方ねーな、よっと」
 テルはムクバードに向かって前進した。
「テル、待って。ここはポッポボーにまかせましょう。オレンの実を投げて」
「わ、わかった」
 テルとモモは、オレンの実をひとつずつ投げた。ポッポとタネボーはオレンを受け取り、食べた。
「いけー!」
「いけー!」
 ポッポとタネボーは突撃した。
「……全然きいてないわヨ」
 ムクバードが言った。そしてポッポに攻撃をしようとしたその時。
「まてー!」
 タネボーがポッポの前に立って攻撃を受けた。
「ど、どうして」
「お前の方が強いんだよっ!」
「タネボー……そうだよな、当然だよな」
「てめーなあ、ひとがせっかく」
 などと言いつつ、ポッポとタネボーは横に並んだ。別々に攻撃をしてはいけない。バトルで大切なのは、フットワークとチームワークだ。
「いけ! でんこうせっか!」
「ならばこちらも、でんこうせっか!」
 ムクバードがポッポに攻撃しようとした時、またタネボーが立って攻撃を受けた。
「……そろそろだな」
 タネボーは、“がまん”していたのだ。だから攻撃を自分から受けていた。
「うおおおおおっ!」
 “がまん”は、とかれた。



「なかなかやるじゃん」
「まあねー。ほとんどオイラのおかげだけどね」
「タネボー……よく言うわ」
 あいかわらず憎らしいふたりだが、こういうところもいいのかもしれないと、テルは思った。
「んじゃ、進もー! って……あれは!」
「宝箱だー!」
 ポッポとタネボーは宝箱を見つけた。
「おお、ナイス!」
 一行は宝箱を持って帰った。



「ありがとうございました! これはお礼です」
 とりあえずプクリン、ペルシアン両ギルドの取り分をひいて、お礼は4にんで山分けした。
「よかったねー」
「よくなんかないやい。取り分がいつもの4分の1じゃないか」
「タネボー! まだそんなこと言う」
「嘘だって」
 タネボーは朝よりずっと落ち着いていた。
「今までなんか、お礼目当てっつーか……早くすっげー探検隊になって皆に尊敬されたいっつーか……そんなことしか考えてなかった気がする。でも今日は、探検隊の楽しさとか厳しさとか、いろいろわかった。テル、モモ、ありがとな!」
「オイラからも礼言わせてくれ。ありがとうな」
 チーム・ポッポボーは、ペルシアンのギルドに帰っていった。
「あいつらならいずれなれるかもな、すげー探検隊」
「私たちも負けてられないわね!」