第17話 〜水のフロートと名探検家〜


「わー、お客さんだ! すごいお客さんだよ!」
 朝から、ペラップは騒ぎ、その声は各メンバーの部屋にまで届いた。
「みんな、お迎えするよ! しっかり!」
「おきゃくさんー?」
 テルは目をこすりながら、のろのろと廊下を歩いた。他のメンバーも大体そんな感じだ。
「ヨノワールさんだ! 彗星のごとく現れた、ものすごく優秀な探険家だよ!」
 その言葉で、テルは頭が冴えた。最近トレジャータウンでもそのポケモンの話題が出ない日はなく、探検家や住民たちの憧れの存在となりつつあったのだ。
「行こう、モモ!」
 テルとモモは先頭にたち、玄関まで急いだ。

 玄関では、プクリンとヨノワールが親しげに話していた。
 プクリンが最初に迎えるとはかなり珍しいことで、相当な客なのだとテルたちは思ったが、プクリンはヨノワールと昔からの友達であるかのように話す。それがまた、プクリンらしい。
「あ、ヨノワールさん、こちらは一番最近の弟子! ほら、挨拶して」
「テルです。ヨノワールさんのお噂、聞いています」
「モモです。よろしくお願いします」
 それを聞いて、ヨノワールは少しの間黙った。
「ん、どうしたの?」
「あ、いや、何でもない。私はヨノワール、少しの間トレジャータウンに滞在することになった。よろしく頼むよ」

 テルとモモは、ヨノワールをトレジャータウンに案内することをペラップに言われ、タウンへ出て行った。
「えーと、それで、このサメハダ岩が西の端です。わかりにくかったところ、ありますか?」
「大丈夫だ。活気があるところだな」
「そうですよね! 北東にある、ペルシアンのギルド周辺にも負けないですよ! ……あのあたり、行ったことないですけど」
 テルがそう言うと、皆笑った。

 ギルドに帰る途中、昔依頼を引き受けたポケモンたちを見かけた。
「きゃあっ!」
「もー、どうして何もないところでこけるの? ルリリはドジだなー」
「急いでるんだもんっ! あ、ほら、いた、テルさん、モモさーん!」
 “トゲトゲ山”でスリープを逮捕した時の依頼者、マリルとルリリであった。
「よかった! テルさんモモさんなら安心だって、直に依頼したかったんです」
 一行は、広場の隅へ移動した。
「ボクたちの宝物、水のフロートを取り返してほしいんです。“エレキ平原”付近を散歩していたら、ルクシオたちに盗られて」
「それは大変だ! 早速行こう!」
「うん!」
 ダンジョンへ行く準備を整えようと、テルとモモはカクレオン商店へと向かった。
「大丈夫か? “エレキ平原”はルクシオに加え、手ごわいレントラーもいる」
 ヨノワールが心配して言った。
「大丈夫です! だっておれたち、チーム“ダッシュ”ですから!」