「キマワリ、どうしたのです?」
「キマァ……」
右側の道を選んだエデルは、キマワリをボールから出して進んでいた。
「なんだか元気がなさそう……って、キャッ!」
一人と一匹の前に、影が現れた。ゴースだ。
「攻撃の姿勢ですわ……キマワリ、“メガドレイン”!」
「キマー! ……キマッ?」
キマワリの“メガドレイン”は、それは貧弱なものだった。進化をしていないゴーストが平気なくらいだ。
「キルルルース!」
“したでなめる”だ。ゴースの攻撃力は特に変わっていない。キマワリは防御力も下がっていた。まるでヒマナッツの時のような力だ。
「どういうこと……?」
エデルはキマワリとゴースの違いを考えてみる。単にタイプ相性の問題だけではないだろう。
「やはり、エネルギー、ですよね。どのような作用を……」
エデルはあと二匹もボールから出した。カモネギはいつも通りで、ルーはいつもより元気だ。
「よし、では、ルーで!」
キマワリに、お疲れ様、と言ってボールに戻すと、ルーはゴースと対峙した。
「“かみつく”!」
「バウワウ!」
その一発でゴースはよろけ、消えてしまった。
「あえて言うなら、進化後のポケモンを弱体化させるエネルギー、かしら……?」
よくわからないエネルギーだったが、エデルは先を急いだ。
外では、赤い光が彼女らを待っていた。
□
「見つけた、クロバットォー!」
遺跡ハンターは、木の枝にとまっていたクロバットに後ろから近づいた。彼女がクロバットをしっかり見たのはこれがはじめてで、不思議な光をまとった蝙蝠ポケモンに改めてうっとりした。
だがクロバットは遺跡ハンターには見向きもしない。
「神殿見てるの? 何か感じるの?」
「クロゥ……」
このあたりにはあと二匹ほどニュートラルポケモンがいるらしいということは遺跡ハンターも知っていたが、彼女はクロバットしか見たことがなかった。ニュートラルポケモンと呼ばれるクロバットは、この大陸のエネルギーの動きも察知できるのかもしれない、と思った。
「ねぇ、隣座っても、いい?」
クロバットは軽くはばたいて、木の幹に近い場所をあけた。
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