Stage 6 : お天気さんと新たな仲間


 ヒウメの森では、草タイプポケモンを捕まえることも一つの目標だが、草タイプや虫タイプのポケモンが多く、アチャモとスバメの特訓にも適していた。
 ポケモンを見つけたら、とりあえずバトルしてみる。そして、いい感じの草ポケモンがあれば捕まえようと考えていた。
「さーて、どいつにしよっかなー」
 ケムッソ、キノココ、パラス。どのポケモンも、もう見慣れてしまった。
 奥地にはもっと強いポケモンがいるかもしれないと期待を抱いて、ここはもうさっさと進んでしまおうと思った時だった。
「あ、そこの坊やー!」
 声の主が自分に言ったことがわかると、ヒロトはそちらへ目をやった。
 水色の柔らかい布を交差にまとった灰色の衣装で身を包んだ、褐色肌の女性であった。
「あたし、迷っちゃって……よかったら、一緒にここを抜けてくれない?」
「へ? いや、僕、こっから勢いつけて行こうと」
「そこをなんとか!」
「うーん……」
 その時、彼女の隣に浮いていた、彼女に似た灰色の丸いポケモンが姿を変えた。突然青いしずくのような姿に変わり、ヒロトは驚愕した。
「あらあらポワルン、スコールが来ちゃう感じ?」
「えっ」
 ヒロトが空を見ると、既に黒い雲が集まってきていた。
「今のうちに!」
 女性はヒロトの手を引き、一番近い雨宿り所に走った。ヒロトが屋根の下に入った直後、バケツをひっくり返したような大雨が森に降り注いだ。
「ふーっ。こんな雨宿り所、さっきも見たのよね。粗末な建物とはいえ、スコール対策はしっかりされているわ。でも、降る前から入っておかないと意味がないわよね?」
 女性はヒロトをちらり見る。それがどんな表情か分かっているため、ヒロトは敢えて彼女を見ず、ポワルンと呼ばれたポケモンを不思議そうに見つめた。
「おっかしいでしょ。あたしのポワルン、“未来予知”が使えるんだけど、攻撃としてじゃなくて、天気予報もしてくれるの」
「えっと、そもそも「ポワルン」というポケモンのことをよく知らないんですけど……」
「あ、ごめんごめん。ポワルンは、いつもは灰色をしてるんだけど、快晴とか、霰とか、あと今みたいな雨の時は姿を変えるの。それと“未来予知”を合わせると、少し未来の天気を予知して姿を変えられるってわけ」
「へぇ。面白いですね!」
「ポワワワワワー!」
 ポワルンはヒロトに興味を持たれ、笑顔を見せた。そして、もとの姿に戻る。
「ってことは、じきに止むわね。この森は天気もよく変わるし、お天気お姉さんを連れてるって感じで、一緒に歩いてくれない?」
「そうですね、なら一緒に行きましょう! ポワルンの他の姿も見てみたいですし」
「やった、決定!」
 彼女は、ヒロトの手を引いて歩き出す。ヒロトは慌てて手を振りほどいた。
「えー、なんで」
「そ、その、慣れてませんから」
「そっかー。お天気お姉さんとはいえ、私もバトルできるから、いざとなったら加勢するわよ!」

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