Stage 7 : 若者文化と大人の友情


「サクハ三都市の一つにして情報発信の中心、ヒウメシティへようこそ!」
 ヒロトが、ヒウメに足を踏み入れると、キャップを被った男性と、奇抜な髪型をした女性が迎えた。もっと、どちらを見ても人だらけというイメージを持っていたヒロトには意外であった。
「あ、ここ郊外だからね。住所ヒウメだけどね。都心はもっとすごい」
「はじめはこのくらいがいいです。人混みには慣れていないので……ところで、三都市って?」
「残り二都市は、ここから北に行ったところにあるカゲミシティと、南部に浮かぶリンドウシティってかんじ。ま、ヒウメが一番スタイリッシュだけど。カゲミはなんかケバくてさ」
「なるほど、ケバ……」
「で、ボーヤは何をしに? 流行ファッションチェック? スパイ? もしかしてもしかして、オレたちのダブルダッチを見にー?」
 キャップの彼は、その場でゆるくステップを踏む。ダブルダッチをする人たちとわかると、その見た目にも納得がいったが、ヒロトの目的はもちろんそれらのことではない。
「全部はずれ!」
「んなっ、なんということ」
「ジムリーダーに挑戦しに来たんです!」
 二人は、おおっ、と驚く。
「ボーヤがー? でもあたし、応援しちゃおっかなー」
「いいよねー。ダンスもいいけどバトルもかっこいいって、最近思い始めたんだよね。あ、でも、チャービルさんは今、番組の収録中でジムは閉まってるんじゃないっけ?」
「確かに」
 またすぐには戦えないとわかると、ヒロトは先が思いやられたが、それならチャービルを待つまでだ、と気持ちを切り替えた。
「テレビ局にジム戦を待つ人専用の小さなロビーみたいなのあったりするけどー、せっかくだしヒウメを回ればいいよー。地図はあそこでいつも誰かが配ってるからね」
 女性が指した先に古く大きな門があり、そこから先は、今まで写真でしか見たことのないビルと人の世界が見えた。
「都心ね。色々見所あるからね、テレビ局もジムもメインストリートにあるし迷ったらそこに出るようにね。あ、最後には必ず、スリーストリートに寄って、オレたちのパフォーマンスを見に来てねっ!」

 門にいた地図配りの青年から地図をもらって開いてみると、まずヒウメシティを東西に横切るメインストリートが目に入り、そこを境に、南北で色分けされていた。
 水色で記された南部は、ビジネスゾーン。ヒロトもよく知っている会社や研究所が紹介されていた。
 黄色で記された北部は、カルチャーゾーン。百貨店や娯楽施設が集まり、若者文化の発信地となっているようだ。
「どこから歩こうかなぁ……」
 どこも魅力がありそうだが、全て回ることはできない。そこで、ヒロトはキャップの男性が言っていたことを思い出した。
 必ず、スリーストリートに寄って。
「えっと、スリーストリート……ここか」
 それは、北部中央の道であった。
「近いところにある、シックストリートと、ツーストリートを見てこっかな」
 地図から目を離すと、丁度目の前がシックストリートだった。

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