「二番手にして切り札いっくよー、コノハナ!」
「アチャモ、勝ちにいくぞ」
お互いの二番手がフィールドに揃う。
「コーココ……」
コノハナは腕を天井に伸ばし、それから思いっきりひじを曲げて気合を入れた。
「負けねぇぞ、“火の粉”!」
「アッチャー!」
アチャモは息を深く吸い込み、火の粉をはき出した。
「当たらないよ」
チャービルは余裕の笑みを取り戻し、コノハナに指示する。
「“自然の力”」
コノハナが手のひらを合わせると、そこに三色のエネルギーが集中し、それらは膨らんで飛散した。
炎、雷、氷、三つの力がアチャモを襲う。
「ア……アチャー!」
「アチャモ! 今のは……」
「“自然の力”は、地形によって出る技が変わる。今コノハナが出したのは“トライアタック”さ」
いきなり大ダメージを受けたが、アチャモはまた立ち上がった。
「頼むぞアチャモ……」
ヒロトの声の力のなさとは裏腹に、アチャモは元気な声を出した。
「アチャ、アッチャー!」
「……って、元気そうじゃん! まだまだやれるな」
「チャモッ」
「ふぅん、息ピッタリ、って感じ?」
チャービルはふっと笑う。
「何がおかしい!」
「いや、何でも。コノハナ、“成長”」
コノハナは手の力を弱め、溢れるパワーに身をゆだねた。特攻が少し上がる技だ。
「じゃあこっちからもいくぞ、“つつく”!」
「アチャッ!」
勢いのあるヒロトの指示に、アチャモは走り出す。コノハナは特に戸惑うこともなく、黙ってアチャモを見つめていた。
「や、やっぱヤメ!」
「チャモ?」
アチャモはヒロトの声を聞き、減速した。
「えーと、ヤメじゃない、けどこれは違う! 思い出せ! ロープへの入り方……」
アチャモはひらめいた。ダブルダッチのことだ。
一気に入り込むのではなく、タイミングを見計らって……
「アッチャー、チャモー!」
「コォー!」
直前に一度静止し、絶対に当たるコースを探し、一気に攻撃。
相性は抜群。だがコノハナは吹き飛ばされることなく、体勢を立て直して何とか踏みとどまった。
「驚いたよ」
チャービルは苦く笑った。さっきまでの余裕の表情は消えている。
「私のコノハナ相手にフェイントなんてね……だけど」
コノハナは一歩前進し、アチャモを睨む。天狗に似た顔で鋭く睨まれると、アチャモもびくっと驚いた。
「勝つのはいつだって、この私だよ!」
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