Stage 8 : チャービル、その姿


「二番手にして切り札いっくよー、コノハナ!」
「アチャモ、勝ちにいくぞ」
 お互いの二番手がフィールドに揃う。
「コーココ……」
 コノハナは腕を天井に伸ばし、それから思いっきりひじを曲げて気合を入れた。
「負けねぇぞ、“火の粉”!」
「アッチャー!」
 アチャモは息を深く吸い込み、火の粉をはき出した。
「当たらないよ」
 チャービルは余裕の笑みを取り戻し、コノハナに指示する。
「“自然の力”」
 コノハナが手のひらを合わせると、そこに三色のエネルギーが集中し、それらは膨らんで飛散した。
 炎、雷、氷、三つの力がアチャモを襲う。
「ア……アチャー!」
「アチャモ! 今のは……」
「“自然の力”は、地形によって出る技が変わる。今コノハナが出したのは“トライアタック”さ」
 いきなり大ダメージを受けたが、アチャモはまた立ち上がった。
「頼むぞアチャモ……」
 ヒロトの声の力のなさとは裏腹に、アチャモは元気な声を出した。
「アチャ、アッチャー!」
「……って、元気そうじゃん! まだまだやれるな」
「チャモッ」
「ふぅん、息ピッタリ、って感じ?」
 チャービルはふっと笑う。
「何がおかしい!」
「いや、何でも。コノハナ、“成長”」
 コノハナは手の力を弱め、溢れるパワーに身をゆだねた。特攻が少し上がる技だ。
「じゃあこっちからもいくぞ、“つつく”!」
「アチャッ!」
 勢いのあるヒロトの指示に、アチャモは走り出す。コノハナは特に戸惑うこともなく、黙ってアチャモを見つめていた。
「や、やっぱヤメ!」
「チャモ?」
 アチャモはヒロトの声を聞き、減速した。
「えーと、ヤメじゃない、けどこれは違う! 思い出せ! ロープへの入り方……」
 アチャモはひらめいた。ダブルダッチのことだ。
 一気に入り込むのではなく、タイミングを見計らって……
「アッチャー、チャモー!」
「コォー!」
 直前に一度静止し、絶対に当たるコースを探し、一気に攻撃。
 相性は抜群。だがコノハナは吹き飛ばされることなく、体勢を立て直して何とか踏みとどまった。
「驚いたよ」
 チャービルは苦く笑った。さっきまでの余裕の表情は消えている。
「私のコノハナ相手にフェイントなんてね……だけど」
 コノハナは一歩前進し、アチャモを睨む。天狗に似た顔で鋭く睨まれると、アチャモもびくっと驚いた。
「勝つのはいつだって、この私だよ!」

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