Slide Show - 古今東西


 ユキノオーとブースター、ルンパッパとツンベアーが対峙する。あられは変わらず止みそうにない。
「カグロ、いいんだよな」
「構わん。こいつの役割は果たした」
「わかった。……ルンパ、“波乗り”!」
「ルンッパァー!」
 ルンパッパは陽気な声をあげ、一番好きな技を放った。ブースターにはかなりのダメージだが、ユキノオーの体力もじわじわ削っていく。しかし、その大波はツンベアーをも襲う。
 そしてあれが来る、とカグロは言った。ヤエの動向を観察して、にやりと笑う。
「ブースター、“ニトロチャージ”!」
 炎をまとい、ツンベアーに突進する。自身の素早さをも上げる、使い勝手の良い技だ。これにはツンベアーも耐えられない。技を受けてすぐ、その場に倒れてしまった。
「よくやった、しかしここまでか」
 言って、カグロはツンベアーをボールに入れた。
 相手ポケモンを倒したというのに、ヤエの表情は冴えない。彼女を見て、また隣にいるカグロを見て、ステラは理解した。
 カグロは、このターンでツンベアーはブースターの炎技で倒れるとわかっていた。それならブースターにダメージを与えようと、ルンパッパの“波乗り”を許したのだ。
 ブースターの、自分をも傷つける必殺技“フレアドライブ”を打たせにくくするために。
 乱暴な戦法だとは思うが、現にカグロは強い。そういうところではまだまだかなわないと、ステラは思った。
「ユキノオー、“宿り木のタネ”」
 ミオのユキノオーは、出てきたネオラントの動きを早速封じに出る。
「ならばこちらも。……“みずびたし”!」
 宿り木の成長に耐え、ネオラントはおもいっきり水を放つ。これでユキノオーは水タイプになる。ルンパッパには有利なはずだ。
「よし、“ギガドレイン”!」
「“ばかぢから”!」
 声が聞こえたと思えば、ブースターはルンパッパより素早く動き、技を阻止した。
「た、耐えろ、ルンパ!」
「ルンッパー!」
 タイプ一致技ではない“ばかぢから”は、どうしても“フレアドライブ”より威力が劣る。ルンパッパは間一髪で耐え、水タイプになったユキノオーに攻撃した。
「ついでに体力回復! っと」
 “ギガドレイン”で元気になったルンパッパとは対照的に、ミオのユキノオーはその場にどしんと倒れた。
「……よくやったわ。ゆっくり休んで」
 ミオはユキノオーをボールに入れた。同時にあられが止む。彼女が強いことは充分わかったので、二人は次のポケモンに注目する。
「ルージュラ、いくわよ!」
「ジュララー」
 出てきたのは、氷・エスパーという珍しい組み合わせのタイプを持つポケモンだった。ミオと並ぶと、怪しい雰囲気が漂う。
「……引っ込め、ネオラント」
「えっ」
 ステラは短く反応するが、ネオラントがボールに吸い込まれるほうが早かった。
「このままだと宿り木に体力の半分以上を削られかねない。……出番だ、ウルガモス」
「ガーモッ」
 ウルガモスのタイプは炎・虫。ルージュラには有利に戦えるはずだ。
「へぇ、いいポケモン持ってるじゃないの」
「イッシュで貰ったタマゴから育てた」
「そう。じゃあ早速、バトル再開ね」

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