東征記 -三人の手記から-


 まず、これを読んでいる未来の人間たちは、ここから筆跡が違うことに驚くと思う。
 一応筆者の名前を記しておくとシュウメイ・シヨウカ。

 私の上司は、あえなく先住民にやられた。
 小さな島には舞台があり、そこにリーグのビルを建設しようとしたからである。
 その舞台は先住民たちにとって大事なものだったのだろう。
 また、遺跡の近くに海辺のの部族とはまた別の部族がいたのがわかった。
 海辺の部族が、内陸は恐ろしさのあまり行けない、と言っていたのだが、彼らを指して言っていたのだろうか。

 私は、闘技場の建設がはじまった土地の、舞台跡の小さなかけらを持って帰った。
 文字が書かれていて、もちろんそれは私は読めないのだが、私たちが普段使っている文字に似ているものもある。
 それだけを繋いで読んでみると――“サクハ”となった。

 彼の死には皆悲しみ、幾夜が明けた。
 彼にかわって私が、これからも見てきたことを記そうと思う。

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 私の心配事が現実となってしまった。戦が勃発してしまった!
 私は前の記録で、これからも見てきたことを記すと書いたが、それは忙しさのあまり叶わなかった。だが、これは書いておかねばならない。
 闘技場建設の話が、海辺の部族にも知られてしまったのである。
 そこで、内陸の部族と海辺の部族(どうやら彼らは同じルーツで、連帯意識を持っていたらしい)が手を組み、我々を襲った。
 私の仲間は、カロスから援助を呼び、彼らの魔獣よりも強い魔獣で応戦した。

 私は、無差別殺戮には反対であったが、特に権力のない私にはどうしようもなかった。

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 人も獣も激減した。
 防衛戦争だったはずが侵略戦争となり、カロス側が有利となった。
 だが、気候変動後からずっと彼らが守ってきた場所を、攻略することはできなかった。
 彼らはこの地を知り尽くしていたのだ。

 そこで、休戦協定が結ばれた。実質、戦の終了である。
 彼らの土地“ダイロウ”は、彼らの土地のままとし、他の地は“サクハ地方”として、魔獣戦闘文化を発展させてよいとする。
 彼らは、個々の地名はもっていたものの、全体の地名はつけていなかった。大きな土地への帰属意識は、気候変動後からは薄れていったからだと思われる。
 それならと、私は“サクハ地方”という名前を提案した。
 こちらもカロス側の命名ということになるが、休戦とはいえカロス側の勝利となるから、と将軍がカロス人からの提案を求めたのだ。
 他にも候補はあったが、私の“サクハ地方”案が部族側に受け入れられた。
 理由は、彼らの信仰する伝説のポケモン、アフカスと響きが似ていたからだった。

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