Episode 10 -砂漠のミステリープレート-


「どっ、どうすんだよ……」
「どうすんだよ、って、探さないでとは書いてあるが、探すしかないだろ」
 ステラたちは早速準備をととのえ、宿をあとにした。
 宿からは、エデルの持ち物ごとすっかりなくなっていた。

 とはいえ、村を出れば一面砂漠地帯である。
 視界もぼやけ、ここでエデルたちを探すことは不可能に近い。
「あっちぃ……」
 ロトもネオラントも、ボールからは出していない。この暑さにすぐ倒れてしまう、と思ったからだ。
「どうすれば……いてっ」
 ステラは何かにつまづいて、転んだ。砂の中では、うまく立てない。カグロが手を貸した。
「サンキュー。で、何だ、これ? 重っ!」
 ステラは、自分がつまづいた、何か硬いものを引っ張りあげた。
「石版? 何書いてるかさっぱりわかんないけど」
「みたいだな」
 カグロも、その砂まみれの石版に触れてみた。さらに持ち上げてみて、じっと見つめる。
「これ、ポケモンの技が書いてあるんじゃないか?」
「え、なんでそう思うんだ?」
「一番上に少し大きめに書かれているのが技名。その左上に、マークがあるだろ? これ、技のタイプじゃないか?」
「ホントだ……カグロ、すげぇな」
 マークはおそらく、地面タイプを表している。ロトやネオラントにこの技を使うことができるかはわからないが。
「解読さえできれば、な」
 ステラたちがその場を去ろうとした、その時だった。
「待ってください!」
 何者かが二人を止めた。二人は声がしたほうを振り向いた。
 銀の長い髪と、モンスターボールのついた三日月形の杖をもつ女性だった。民族衣装だろうか。
「私は、砂漠のシャーマン。自然やポケモンたちと対話することができるの」
「シャーマン……聞いたことあるな。で、俺たちに何か用ですか?」
「そのミステリープレート! その石版の名前は“ミステリープレート・アルファ”っていうんだけど、それがどうしても見つけられなくて、ずっと探してたの」
「へー、ミステリープレートかぁ!」
 シャーマンの女性は、プレートに書かれた碑文を読む。
「なるほど、デザートバーン……」
「どんな技ですか?」
「とどめを刺す技みたいね。相手のポケモンを状態異常にする。でも、技の効果よりも大切なことがある」
 ステラは、首を傾げた。カグロの方を向いたが、カグロはわからない、とでも言うように首を横に振った。
「私も憶測だからわからないけど。あなたたち、トレーナーよね? この大いなる計画に、協力してくれない? 詳細は言えないけど……」
「というのは、いろんなところのミステリープレートを見る、ということですよね?」
「そうよ。この大地を大きく囲むプレートたちを見せてあげるわ。それに、もっとすごいものも、ね」
「なるほど。面白そうだし、その過程でエデルとルーも見つかるかもしんねぇ。やろうぜ、カグロ!」
「ああ」

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