Episode 10 -砂漠のミステリープレート-


 東には、大地のひびに人が集まっていた。
「あれは?」
「預言のとおりだと、もうすぐあの大地が裂けて、古代のポケモンが復活するって言われてるの。でも、あそこで待ってるだけじゃ、大地は裂けないわ。この意味、わかるかしら」
「つまり、俺たちがやってたことって……」
「そう、大地の扉を開くための技集め」
 ステラとカグロは、顔を見合わせた。自分たちのポケモンがそんな大いなることに関われるとは思ってもいなかったのだ。
「オイラワクワクしてきたー! でも、よく考えたら、はじめのプレート、アルファだっけ? あれの技はどのポケモンも覚えてないんじゃ」
「それは大丈夫。シャーマンの力を通じて、あるポケモンにお願いしておいたわ」
 シャーマンは人気のないところへ移動する。ステラ、カグロもそれに続く。
 サンドやラッタたちが空を見上げはじめた。何かを感じとっているのかもしれない。
「じゃあ、君たち、ポケモンを」
「ロト、今度こそあの技だぞ!」
「扉を開くぞ、ネオラント」
 二匹とも、ボールから元気いっぱいに飛び出した。
「イーブイ、出番よ。それから、……ライコウ!」
「ライコウだって!?」
 シャーマンが右手を振ると、ライコウが颯爽と現れた。ライコウは吠えるが、地面のひびに夢中になっている人々は気づかない。
 シャーマンは四匹を自分の周りを囲むようにつかせ、杖を握って静止した。
「……」
 こう、呪文とかないんだな、とステラは囁いた。まぁ見とけよ、とカグロは言う。そう言われたステラは、シャーマンと四匹のポケモンたちを食い入るように見た。
 ライコウの“デザートバーン”により、砂漠から一つの岩がせり上がり、それをロトが“ストーンクラッシュ”で砕く。浮かんだ岩のかけらを、すかさずイーブイが“レトロケイブ”で静止させ、ネオラントが“オアシスヒール”によって輝かせる。
 その、白く輝く岩は一直線に並び、光の速さで地面を切り開いた。
 強い揺れが人々を襲った。ステラたちは立てなくなり、その場にへたり込む。シャーマンは立ったまま、杖を動かす。
「やべ……これは、気持ちわりぃ……」
 ロトとネオラントは、主のもとへ行き、主たちを支える。ポケモンたちはこの揺れが平気なようだ。
 シャーマンは、地面に鍵をかけるように、杖を地面に突き立てた。その瞬間、揺れもおさまっていった。
「すごいぞ、大地が裂けた!」
 人々は急いで、その裂け目に入っていく。
「ありがとう、成功よ。預言で出たんだから、こうなることもまた必要であったはず。私たち、ここでお別れね。あなたたちはどうするの?」
「うーん。あなたが言っていた、“手の届かないところ”っていうのがどうしても気になって。それって裂け目のことなのかな」
「エデルが先に裂け目に行っていた? それはあまり考えられないが、俺も気になることがある。だから、俺は裂け目に入ろうと思います。ステラはどうする?」
「オイラも行く! これ以上、こんなところでバラバラになったら、取り返しつかなくなりそうだもんな……」
「わかったわ。私は一度、預言者のもとへ戻る。あなたたちも、しっかりね」
「はい」

 地底探検隊らしき団体が下っていく中、ステラとカグロは裂け目に入った。
「なんか、今思い出したけど、オイラたちって一応ニュートラルポケモン探してんだよな。いるかな」
「……いるだろうな」

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