Episode 13 -神殿への切符-


 三人は、遺跡ハンターとぼんぐり職人の老人とともに、再び球体の浮くスタジアムに来ていた。
 この土地は、老人曰く“ミステリーゾーン”と呼ばれているらしい。
 カグロから全てを聞いた二人は、“かけら”のパワーアップが終わるとすぐに外に駆け出し、老人を困らせた。
「あの超苦いやつに浸けてたけど大丈夫なのかよ」
「大丈夫だ。わしの腕が信じられないか?」
「そうじゃないけどさ。苦さ思い出して!」
 ステラがそう言った時、三人が首からさげていた“かけら”が少し浮いた。
 “かけら”は、それぞれ別の方向を向いている。
「おお、ぼんぐり効果!」
 向いている場所は、ミステリーゾーンの三隅で、少し大きめの球体がそこにあった。
 三人は、ゆっくりとそちらに向かう。
「あれは」
 成り行きを見ていた老人が言った。
「ミラクルソフィア……」

 三人が目の前まで近づいたその時、三つの球体は、神殿に向かって飛んでいった。
「わ、わわっ!」
「そうか、これが鍵……」
 遺跡ハンターはそう悟った。
「ミラクルソフィアは本来、神殿にあって伝説の鳥ポケモンたちのサポートをする。鳥ポケモンがいなくなった今、外に散って、このミステリーゾーンを形成した……?」
 神殿に目を向けると、大きな爆発音が聞こえた。何かを破くような音だ。
「扉が開いた?」
 “かけら”がぼんやりと光りだす。“時”は黄色、“水晶”は青、“星”は赤色だ。
「それらの光がおぬしたちを導くだろう」
「……はい」
 その時、またしてもあの影がよぎり、地面に交差ができた。
「あ、クーロバットー! 待て! というわけで、私たちここでお別れね。神殿見れないのは残念だけど、あなたたち三人が見るべきだと思うわ」
「しっかりな」
「はい!」
 三人は二つ返事で答えた。

 神殿の扉は、三人を迎えた。
 三人が中に入ると、扉はまた堅く閉ざされた。
 遺跡ハンターが見せた、あのフリーザー像をずっと大きくしたような、伝説の鳥ポケモンの像が三つ並んでいて、その先に三つの道が伸びていた。
「ここでまた……」
「タイプ別だろうな。俺のかけらは青色に光っているから、フリーザーの道か」
「何があるんでしょうね。わたくしは赤ですわ」
 ステラはサンダー像の前に立って、ぼそりと呟く。
「またバラバラだな」
 それを訊いた二人の表情が曇った。
「よく考えたら、三人旅なのに、あんまり一緒にいなかったよなって」
「……ごめん」
「カグロ、今、謝った?」
「失礼な奴だな。でも、もとはといえば俺が悪い。ずっと隠してて」
「いいっていいって! ルギアが話させないわけだってわかるし。あそこで別れたの、オイラだし……」
 ステラは後悔から俯いた。カグロはステラの視線にあわせ、拳を突き出す。
「もういいだろ。俺はお前を許すし、俺のこと許してくれるだろ。ここが終わったら、もう三人で行くようなところもない。エデルは復学するし」
「そうですわね。これが最後……」
「もうバラバラになったって、心はバラバラじゃないだろ。三人の力で、この大陸に伝説の鳥ポケモンたちを呼び戻す。……三人ならできるって、俺は、信じてるから」
 ステラはそこで顔をあげ、カグロと同じように拳を突き出した。エデルもそれに続く。
「ああ、信じてるさ!」
「どんなお友達より、素敵な二人。わたくしだって、信じていますわ!」
「よし、胸張って行こうぜ!」
 三人はそこで別々の道を進み始めた。
 冒険心と、希望を、胸に。

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