儀式はおわり、タマタマやナッシーはそれぞれの住処へと戻っていった。
一組のタマタマは、サイキッカーのもとへ来た。
「あ、こいつは、僕のポケモン」
タマタマはサイキッカーの隣につき、ステラをギロリと見上げた。
「もしかして、さっきの」
「……タマタマタマー!」
ステラの身体が、ふわりと浮く。
「ごめん! ほんとゴメン! 踏んだことは悪かった!」
「ハハ……やめな、タマタマ」
ステラとロトは、高台を上った。
ミステリーサークルらしきものは、高台の向こうにも続いていた。
そこで、ステラはひとつ、奇妙なものを見つけた。
「……ロト?」
そこには、ロトが描かれたミステリーサークルがあったのだ。
「いや、コロトックか。見てみろよ」
ステラは、ロトの顔をそちらに向ける。ロトは驚いたが、少し嬉しそうでもある。
「行ってみるか!」
「トック!」
そのまま、坂を下りる。コロトックのサークルは、下りてすぐだ。
「えーと、このへんのはずなんだけど。下りたらぜんっぜんわかんねぇなぁ」
「ステラ」
「ステラ」
背後から、聞きなれた声がした。
「……え?」
「やっぱり。これで見つかると思っていたんです」
「間に合ったみたいだな」
「エデル! カグロ! ……何で」
その二人の背後には、大人の男が数人並んでいた。
「人工サークルですわ。わたくしが何人か雇って、コロトックを模したサークルを役割分担して造ったんです」
「昨日は徹夜だったけどな」
「トック、トーック!」
ロトは、ボールから出ていたキマワリと抱き合った。ステラはそれを横目で見て、緊張がほぐれた。
「探してくれてたのか?」
「もちろんですわ。この旅には、元気のいいあなたが必要です」
「……カグロは?」
「便乗だ。俺は別にどうでもいい」
「てんめぇ……」
「で、また一緒に旅するのか? それとも一人で行くのか?」
「……一緒に行きたい!」
ステラはそう言って、カグロとエデルに抱きついた。
「ステラ……」
「あぢぃ……」
大人の男たちは、あーいいね、友情だねぇ冒険だねぇと、口々に言った。
「ステラさん。キングドラとあなたのこと、お話してください」
就寝前に、エデルが言った。
「もし、差支えがなければ。わたくし、カグロにルギアのことを何度も訊いたんですが、一度も話してくれなくて」
「すまん。理由があって」
「いいんですよ、カグロ。ステラは、話せますか?」
「ん、じゃあ、話そうかな」
再会の興奮はしばらく冷めず、夜中になっても、彼らはずっと話し続けていた。だが、旅の疲れもあって、ある時間にはもう寝付いていた。
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