「え、何か見えたのか?」
「わからなかった……」
「オイ」
「オイラ、ちょっと見てくるよ!」
ステラは、カグロとエデルの返事もきかず、走るポケモンの方へ向かった。
エデルはそのまま追いかける。カグロは、さっきの水流からそのままにしてあった自分の靴を取る。
それを履いた時、左足の土踏まずに痛みが走った。
カグロは靴を脱いで、中を見た。
「何か入ってる……?」
「カグロ、来てください! わたくし一人じゃ、とてもステラに追いつきそうにありませんわ!」
「あ、……ああ」
カグロは中に入っていたものをポケットに入れて、走り出した。
あのポケモンを追いかけ始めたはいいものの、相手の方が断然速い。ステラはすぐに見失ってしまった。
「おーい、ステラー」
小さくなったカグロたちが追いかけてくる。
「あっ、カグロ、エデルー! こっち行けるっぽいぞー! 案外、西に進んでるのかもな!」
「はぁ……あなたはいつも、決定が早すぎます!」
「遅いよりまし!」
ステラはそう言って、また地平線を眺める。あのポケモンが跳んだ。
「何あいつ、すげー! 待て!」
エデルはひとつ、ため息をついた。カグロは、あきらめろ、と言った。
そのまま追いかけると、狭い峠にたどり着いた。峠は道の整備のされようを見ると、完全に人間用という感じで、人通りは少なくない。看板まである。町方面に抜けられるのだろうか。
「なるほど、こっちが町か。でも、まだだ。あのポケモンを身近に見てから! これは人間用ってことは、どっかにポケモン用があるかもしんねぇな。手伝ってくれ、ロト!」
ステラはボールからロトを繰り出した。ロトは元気いっぱいだ。
ロトの本能で、ポケモン用の通り道を探そうという考えだった。
「あっちにはまだカグロとエデルがいる。人間を避けているとしたら、もうあっちには戻らない。絶対近づいてるはずさ!」
「トック!」
ロトは早速、ステラの右手を示した。そこは山が少し低く、崖が通れるようになっていた。
崖の道はなかなか広く、いかにも大きなポケモンが通りそうな場所だった。よくよく見ると、大きな足跡がたくさんある。
「やりぃー!」
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