“樹氷の森”は、今でも雪が静かに降っている。だが、雪の降る量は少しずつ減ってきている。
これも自然災害のひとつなのだろうか、とルリリは思った。
このルリリはもちろん、倒れてくる木に下敷きになりそうになったところをリリーに助けられた、あのルリリである。
「一番大切なこと言うの、忘れてたよ」
リリーたちが天空の塔へ向かったのは今やこの大陸に住むポケモンであれば誰でも知っていることだ。
「ありがとう、リリーさん。だから……へこたれないで。倒れないで」
○
“沈黙の谷”に住むワタッコたちにも、その話は伝わっていた。
「リリーさん、どうか……この世界を救ってください!!」
誰もが祈ることだった。ごめんなさいと、ありがとう。この声はリリーには届くのだろうか。
「そうだ、“ことばの葉”なら、できる……私の、皆の想いを届けることが」
○
「リ、リリー……」
歩けなくなったリリーを背負って、ノアはさらに上を目指した。
「どうしよう、どうしよう」
カゲボウズはリリーの顔を見て言った。
「あら?」
ルナトーンは、外にあふれる光に気がついた。
「あれは……!」
たくさんのポケモンたちの想いを乗せた光であった。リリーのところにたどり着くなり、光は弾ける。
ごめんなさい
今でも大好きだよ
世界を救ってください
ずっと応援しつづけます
ありがとう
「うっ……ううん……」
「リリー!? 目が覚めたんだね!」
「ノア……ここまで連れて来てくれたの?」
「うん。でも、連れて来たのはボクだけじゃない。カゲボウズにルナトーン、そしてボクらを応援してくれてる皆のお陰だよ」
「ノア……うん、そうだね」
一体誰がリリーを目覚めさせたのか。そんなことはノアにはどうでもよかった。
「んぎゃー!」
「カゲボウズ、どうした?」
「見てよ、見てよ!」
いつのまにか視界が暗くなっていた。リリーたちは上を見上げた。そこにいたのは、緑色の巨大な竜だった。
「レックウザ……!!」
「安心するのは、まだ早いようね」
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