+ 第9話 闇に潜むロマン +


 リリーたちは、このままこの地にいても意味がないと判断し、広場に戻った。
「と、いうわけなんだ。オーロラの、って誰かわかる?」
 広場のポケモンたちはざわついた。その時、散歩に行っていたプクリンが帰ってきた。
「あ、プクリンさん! 情報通のあなたなら」
 リリーは、これまでの経緯を話した。
「なるほど。難しいね。でも、ボクの友達にきっと知ってるコがいるはずだよ!」
「ほんとに? いい結果を待ってます!」

「事態は一刻を争う。リリーやノア、そして多くの救助隊たちがぶち当たった困難……」
 カクレオンのその言葉に、いいからすすめろー、とやじが飛び、つかの間笑いが起こった。どんな状況でも楽しもうとすることが大事だと、ポケモンたちはわかっていたのだ。
「静粛に! ……というわけで、強力な助っ人を呼んだ」
 カクレオンは、プクリンの方を向いた。やはりプクリンの知り合いらしい。
「よし、夢とロマンを追う、ボクの友達、おいでー!」
 プクリンがそう呼ぶと、ぶち模様のポケモンがあどけない足取りで現れた。
「ハーァアーイ。パッチールです!」
 彼の、その掴みどころのない立ち振舞いが、リリーたちを不安にさせた。
「あなたが、助っ人……?」
「はい! オーロラといえば、もちろん虹色の羽根と銀色の羽根が織り成すハーモニーのことでしょう」
 二枚の羽根が、オーロラを形作る。言われたところで、あまりピンとこない。
「その羽根の持ち主に会ったら、何かわかるのかな」
「虹色の羽根の持ち主はホウオウ、銀色の羽根の持ち主はルギア。どちらも、立派な翼を持った伝説のポケモンです。実はてまえ、そのポケモンたちを追ってまして。ほら!」
 パッチールは、鞄から白い羽根を二枚取り出した。
「これは不思議な羽根でして、ホウオウとルギアに会うには、伝説のポケモンたちに羽根の色を染めてもらわないといけないんです。それで、このあたりでこれらの羽根を持っているのはてまえだけ、というわけです!」
 リリーがそれを興味深そうに見つめると、パッチールは羽根をリリーに渡した。
 どことなく高級感のある羽根だった。確かに、不思議な力がありそうなものである。
「いいものでしょう? つまるところ、てまえなしではホウオウやルギアのいるところまでたどり着くことは困難だと思われますが」
 リリーはノアに羽根を渡した。ノアもその不思議な力を感じとったようで、
「あなたを信じましょう」
と言った。
 リリーも、パッチールの方を向き直って、
「強力な助っ人さんね!」
と言った。

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